衣紋掛けは死語?使われなくなった理由とハンガーとに違いについて

豆知識

「衣紋掛け(えもんかけ)に掛けときなさい!」

などと、小さい頃に祖母に言われた記憶があるのですが、衣紋掛けって今ではもう死語になってしまってるのでしょうか。

そもそも衣紋掛けって、ハンガーのことだとばかり思ってましたが、ちょっと違うようです。

そこでこちらの記事では、次の点について言及しています。

・着物用のハンガーである「衣紋掛け」という言葉は、もはや死語なのか?
・衣紋掛けとハンガーの具体的な違いについて

結論から言いますと、衣紋掛けが使われなくなった主な理由は、日本人の着物離れと洋服の普及にあります。

以前は着物が日常的な衣類でしたが、現在では主に成人式や結婚式など特別な場でのみ着用されることが多いです。

その結果、衣紋掛けという言葉も徐々に「ハンガー」という言葉に取って代わられました。

この記事を読むことで、衣紋掛けの使用が減少した背景、名前が変わった理由、ハンガーとの違いなどがわかります。

衣紋掛け問題が気になる方はチェックしてみてくださいね。

なぜ衣紋掛けの使用が減少したのか?

衣紋掛けの使用が減少した主な理由は、日本人が着物から洋服へと衣類の選択を変えたことにあります。

戦前、ほとんどの人が日常生活で着物を着用していましたが、昭和30年代以降、洋服を好む人々が増え始めました。

特に昭和30年代から40年代にかけては、着物を着用していた年配者も徐々に減っていきました。

着物を着ていた時期、多くの家庭では衣紋掛けが着物を掛けるために活用されていました。

時間が経つにつれて、年配者でさえも洋服を常用するようになり、着物を着ることが少なくなりました。

私の祖母も大正時代の生まれでしたが、私が記憶する限り、普段は洋服を着ており、着物を見た記憶は喪服を着た葬儀の時くらいです。

祖母の部屋にはおそらく残っていたかもしれませんが、洋服を掛ける際には通常のハンガーを使用していたようです。

衣紋掛けからハンガーへの呼び方が変わった理由とは?

着物を着る機会の減少とともに、本来の衣紋掛けは家から姿を消してしまって、洋服のためのハンガーが増えていきました。

ただし、祖母自身はそのハンガーを「衣紋掛け」と称していました。

そのため、私は「衣紋掛け」という言葉を知っており、それが洋服を掛けるための道具、すなわちハンガーと同一のものだと認識していました。

本来は着物を掛ける用具としての意味合いが強いため、ハンガーと完全に同じではありませんが、使用する目的は似ています。

さらに、昭和30年代に入ると人々が洋服を積極的に着用するようになり、安価なプラスチック製のハンガーも普及し始めました。

これにより、一般家庭でもハンガーが広く用いられるようになりました。

このような経緯から、「衣紋掛け」という本来の用語の使用頻度は減り「ハンガー」という言葉に置き換わっていったのですね。

 衣紋掛けとハンガー、どこが違う?

ハンガーと衣紋掛けの主な違いは、着物と洋服の使い分けにあります。

衣紋掛けは、着物専用の掛け具で、着物の袖を通すために約1メートルから1.5メートルの幅があります。

また、袖がしっかり伸びるように長い棒が採用されています。

一方、ハンガーは洋服の肩部分にフィットするように設計されており、幅は30センチから50センチ程度です。

肩部分が自然に曲がるようなデザインが特徴です。

このように、本来の意味としての形状には顕著な差が存在します。

以前は単に名称が異なるだけでハンガーと同じだと考えていましたが、使用するアイテムが着物か洋服かという点でも異なりますし、形状にも大きな違いがあることがわかります。

「衣紋掛け」という用語はもう死語?

ハンガーと兼用されて使われていた「衣紋掛け」という言葉じたいも、次第に忘れ去られつつあります。

日常で着物を着る習慣が薄れたことにより、この言葉を使う機会も減っています。

着物を普段から着ていた世代が減少しており、この用語を耳にすることも少なくなっています。

最近の調査によると、大学生の約80%がこの用語を知らないと回答しています。

私は50代ですが、私の世代ではまだ祖父母と同居する家庭が多く、多くの人がこの用語を知っていました。

しかし、実際に友人たちと話してみても、「衣紋掛け」という言葉が話題に上がることはほとんどありません。

言葉として出したとしても「何それ!今どき衣紋掛けなんて言わないよ!」と一笑に付されるのが関の山です。

死語といえば死語ですよね。

衣紋掛けは死語?使われなくなった理由とハンガーとに違い・まとめ

今回は衣紋掛けの使用が減少した理由や、呼称が変化した背景について解説しました。

元々、衣紋掛けは着物を掛ける専用の道具として使用されていました。

しかし、着物を着る人の数が減少するにつれて、その使用も少なくなってきました。

私の実家においても、祖母はこの言葉を使っていましたが、実際にそのアイテムを見たことはありませんでした。

一部の高齢者の間ではまだ使われていますが、通常はハンガーを指すことが多いです。

伝統的な言葉が使われなくなるのは寂しいものですが、これもまた時代の変化に伴う自然な現象かもしれません。

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